「たった今から誰とも喋ってはいけない」
りゅうさん(崎野)のその一言からソロサバイバルキャンプが始まりました。
ベースキャンプであれだけ騒がしかった子ども達も静かになり、雰囲気が一変します。
今晩はたった一人で夜を明かさなければなりません。
キャンプ地にたどり着いた子ども達。
彼等はまず、ロープとブルーシートで雨露をしのぐテントを作ります。そして、ソロキャンプ地に落ちている小枝や松葉などで火をおこし、持ってきた飯ごうで自分の夕飯を作ります。
やることは決まっていますが、子ども達の行動は様々です。
到着して早々に行動を開始する子もいれば、しばらく放心状態になってしまう子もいます。
さて、真っ先に動き出した子の内の一人に、去年もガキ大将の森キャンプに参加した子がいました。
彼は前回、ソロサバイバルでご飯を炊けず終いだったそうです。
今回のキャンプ初期に行なった飯ごう炊きでも、最後まで火をおこすことができませんでした。
彼は火をおこすことが出来ないことを本当に悔しく思っていて、その後火おこしの訓練がある度に、努力を続けました。
燃料の集め方も、マッチの入れ方も、少しずつ上達しました。そして、一人でもご飯が炊けるようになったのです。
そして、ソロサバイバルの夜。
彼は一生懸命手を動かし続けました。
その手際は、上手な子に比べれば効率のいいものではなかったでしょう。
事実、彼が食事を完成させたのはだいぶ後のほうでした。
しかし、炊き上がったお米をよそう彼の表情は、誰にも負けないぐらいに自信と誇りにあふれていました。
(ワイド/矢嶋宏大)